INTERVIEW about beauty vol.08 横畑 早苗
“服”は着る人の気分を 盛り上げ、支え、表現するもの。
世界的なアパレルメーカー「ユニクロ」のデザイナーを経て、現在はウエディングドレスデザイナーとして活躍する横畑早苗さん。彼女のものづくりの喜びや服への想いをmogansの生みの親・彩り株式会社代表 渡井が伺いました。
“人を喜ばせたい” その思いを原動力に。
渡井:ユニクロのデザイナーから一転、ウエディングドレスの世界に飛び込まれたのには、どんな理由が?
横畑:きっかけは、専門学校の同級生の展示会を手伝ったとき、買い手と作り手の「かわいい!」「ありがとうございます」という、ものづくりの根源となる心の動きに触れたこと。大企業では味わえなかった喜びを自分も味わいたいと、独立してレディースカジュアルのブランドを立ち上げたんです。それから2年経った頃、ウエディングドレスを作ってもらえないかというお話を受けました。ドレスを作ったことはなかったのですが、その方の人となりに惹かれてチャレンジすることにしたんです。
挙式当日、控室で待機していたとき、新郎新婦入場と共に披露宴会場から聞こえてきたゲストの「かわいいー!」という歓声。そして、その後控え室に戻ってきた新婦の嬉しそうな、今までで一番美しく輝いている姿を見て、初めて自分のものづくりで人が喜んでくれたことを実感しました。その経験が忘れられず、同じブランド名でウエディングドレスブランドへ転向したんです。
その人の魅力を引き出す服。 なりたい自分になれる服。
渡井:ウエディングドレスをデザインするとき、どんなことを大切にしていますか?
横畑:主役はドレスではなく、着る花嫁さま。特別な1日の主役として存在感をもって輝けるように、もともとお持ちの魅力(体型・骨格・筋肉・姿勢・顔立ち)を最大限に引き出し、支えられるよう意識して作っています。
渡井:“着て美しい”ということは大切ですよね。ドレスに限らず、服を着こなすコツはあるでしょうか?
横畑:気合い服・リラックス服、シルエットがタイト・ルーズに関わりなく、「なりたい自分になれている」という納得感がある服を選ぶと、“洋服に着られている”という状態から、“着こなしている”という状態になります。そうすると、表情、立ち姿、仕草、振る舞いが自然といきいきとして、美しい見え方につながると思います。
渡井:なるほど。横畑さんの洋服選びの基準は?
横畑:個性的なバランスで、低身長・骨太というコンプレックスがカバーでき、しなやかな立ち姿が叶えられることですね。あとは、同じ洋服を着ても、髪色・ヘアスタイル・スタイリングによって全くテイストが変わってきます。髪には、全体の雰囲気やコーディネートを左右し、その人の意志を表現する重要な役割があると思うので、きちんと髪のケアをしてあげることも大切ですね。
渡井:おっしゃる通りです。ご自宅ではどんなケアを?
横畑:入浴時に汗を出し、頭皮をマッサージしながら汚れを落としきること。濡れたままの状態を避け、オイルで保護することを大切にしています。数年前まで明るめの細いハイライトを何色も入れることで奥行きを出し、癖っ毛を生かした甘さと軽さのあるスタイリングを好んでいました。今は自分のブランドをシンプルモードに特化させていくのに従い、髪色もスタイリングも甘さを排除したヘアスタイルになりましたが、いずれにせよパサツキがなく、艶があることが最重要だと思っています。
PROFILE
横畑 早苗
ウェディングドレスデザイナーESMOD JAPON TOKYO スティリズム専攻科卒業。株式会社ユニクロのデザイナーを経て、2011年にnae.ATELIERを設立。